第56回 埼玉平和美術展を終えて

実行委員長 瀬田幸江

 コロナ第7波で新規感染者数が、8月第1週は150万人近くに上り、世界最多となりました。それに加え35度以上の猛暑日が続きました。
 そんなコロナと暑い中でしたが、昨年を超える出品者数・作品数で終えることができました。これも出品いただいたみなさんのお陰です。中には、独身時代から出品しお母さんになってちょっとお休みしたけれど、今年は3歳のお子さんと一緒に作った作品を出品してくださった方もいて、本当に嬉しいです。みなさん、ありがとうございました。埼玉近代美術館の地下4室を全部借り切って、展示作品が廊下まで溢(あふ)れる展覧会を誇りに思います。正に「平和の壁に花一輪を」と平和を大事に思う方々の気持ちの結集でした。
 今回はロシアのウクライナ侵略にともない、「ウクライナに平和を」という企画展示コーナーを設けました。これは、実行委員の中から「こんな理不尽な状況に怒りを覚える。平美展(埼玉平和美術展)としても何かこの気持ちを作品に表し伝えるコーナーを設けたらどうか」という提案がありました。実行委員のみんなも「それ、いいね!」ということで実現しました。ただ目を覆(おお)いたくなるような作品が出たらどうするか、など心配もありましたが大丈夫でした。作品は35点集まり、良い企画展示になったと思います。私は陶芸なので社会的テーマを形にして自分の思いを表現することはありませんでした。今回新(あら)たな挑戦ができて良かったと思っています。

「ウクライナに平和を」瀬田幸江
「ウクライナに平和を」瀬田幸江

 平美展の良い所は「出品者が繋がっていく」ことだと思います。あちこちで作品を挟んで話をしている姿を見かけます。気になる作品の作者に声をかけて話を聞き知り合いになって繋がる、毎年出していると作品と作者が繋がってきて「あらっ、作品が変わってきた」と気づき話かけたくなる、合評会で思いを聞く、受付を一緒にしてお互いの事や作品について知り合う、実行委員になって知り合う など、平美展には何回か出す内に知らなかった誰かと知り合っていく良さがあります。私は初出品してから12年になりますが、そうやって毎年知り合いが増え、平美展は自分に近いものになりました。作者に声をかけどんどん繋がっていくのは楽しい。これは、私に限ったことではないと思います。
 56回展に向けて、14人の実行委員が4回の会議を経て準備してきました。どんな展覧会にするか、特別展示は誰に頼むか、ポスター・呼び掛け文や出品要項はよいか、その発送作業、会場レイアウト、搬入受付方法、最後の出品呼びかけなど、相談してやってきました。搬入当日はそれぞれの持ち場で頑張ってくれました。展示では、実行委員以外の方々にも積極的にお手伝い頂いて助かりました。誰かにやってもらう展覧会ではなく自分にできることで参加する平美展はいいなと思いました。初出品なのに搬入時に手伝ってくれた方もいました。
 出品してくださったみなさん、手伝ってくださったみなさん、実行委員のみなさん本当にありがとうございました。コロナ禍で暑い中、見に来てくださった方々にも感謝でいっぱいです。